2015年5月13日水曜日

戸外リハビリについて~わの会スタッフ研修より

3月19日、わの会6事業のスタッフが全員集まり交流会を行いました。
そこで発表された内容の抜粋をご紹介します。(わの会通信29号掲載)

◆ 高齢者のリハビリテーションとは ◇

 高齢者のリハビリテーションとは、単なる機能回復訓練ではなく、心身に障害を持つ人々の全人間的復権を理念とし、潜在する能力を最大限に発揮させ、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を可能にし、その自立を促すものである。したがって、介護を要する状態となった高齢者が、全人間的に復権し、新しい生活を支えることは、リハビリテーションの本来の理念である考えられています。

◆ 戸外で“歩く”リハビリ◇

デイサービスりんりんでは、戸外で”歩く”リハビリを行っています。
戸外に出て歩くことで、
①外を歩く事で筋力の低下を防ぎ“いつまでも自分の足で歩く”ことの継続
②外へ出る事で外気を吸い、季節の草花を愛で生活の質(QOL)の活性化・精神状態の向上に繋がる
③社会との関わりを継続することを目的としています。
また、歩くことは、認知症予防や生活習慣病予防
にも効果が見られていると国立長寿医療センター
もウォーキングを推奨しています。
その内容は、週に3回以上1回30分程度歩く事
で身体の血液循環を良くし、
①アルツハイマー型認知症にかかる確率が30%減る
②高血圧の予防、血圧値の安定を図りそこから繋がる脳血管障害をも予防
③様々な場所を歩く事で“つまづかない様に”“転ばない様に”と自身で注意することは脳に適度なストレスを与え、刺激が加わり脳が活性化する
④糖尿病予防や治療に対する運動療法
等が挙げられているとの事です。

◆ “出会い”でさらなる効果も ◇

それはこんなことがありました。
公園では遊びに来ている小さな子供に出会います。その子供たちを見て、戸外では車椅子を使用する様になった92 歳女性のOさんが「あんな所に可愛い子がいるよ!」と自ら車椅子から離れスタッフの介助を借りながらも自身の足で一歩一歩と子供の元へと近づき、うれしそうに子供たちの頭をなで話しかけます。
これは”かわいい子供のそばに行きたい””頭をなでてあげたい”という気持ちが身体を動かし、そうすることで新たな交流を持つことが出来きたわけです。これは、施設の中だけで過ごしていたら絶対に生まれない力です。

◆ リスク対策を怠らずに◇

しかしながら戸外に出ることは、施設内で過ごすより多くのリスクがあります。
例えば、戸外は必ずしも平坦で安全な道ばかりではなく坂道・砂利道・木の根が這う道などがあり歩きやすい環境ばかりではありませんから転倒に繋がる危険性があります。また、夏は熱中症、冬は風邪などの心配。それと行方不明事故で特にこれは認知症の方に多く見られ、移動中に一瞬目を離したことで起ることがあります。
そのため、わたし達は戸外でのリスク対策のために話し合いの時間を多く持ち、そのための準備を怠らないように気をつけています。
ご家族からも「外での歩行の介護技術がとても良い」「午前中の歩行訓練で雨の日の博物館等、外からの刺激が嬉しいです」「リスクがあるがそれ以上に必要であると言うことが分かっているから戸外へ出る事を続けて欲しい」という要望も強くあるため、わたしたちはこれからも変わらず戸外リハビリを続けて行きたいと思います。

~相談員 森田恵美~

H27年5月1日の戸外リハ~薬師池公園(町田市)

町田市にある薬師池公園での戸外リハです。
藤棚に藤の花が満開でした。